
今回は私がこの25年間で経験してきた配達員のリアルな出来事の数々の中から一つ掻い摘んでご紹介いたします。
犬に噛まれる
このお客様の家は比較的大きく鉄格子の門を開けて進んだ奥に玄関があります。
書留や小包は印鑑もしくはサインが必要なのでインターホンでお呼びするのですが
そのインターホンを押した瞬間から家の中で犬がワンワン騒ぎまくっているのが聞こえました。
イヤな予感がしながら待っていると案の定、玄関のドアが開いた直後に犬が私に飛び掛かってきました。
大型犬です。
多分ラブラドールだと思います。
そして私の腕や足(太腿、すね)の辺りにガチで噛みついてきました。
怯んだ私は若干後退りしながらも犬は怯むことなくひたすら私の足に噛みついてきます。
そして、ここからが驚きの対応の始まりです。
なぜか、ドアを開けた本人が犬を解き放ちドアを一度締めてから遅れて出てきます。
皆さんでしたら、自分の飼っている犬が目の前で他人に噛みついているのを見たらどうしますか?
私だったらどうにかして噛みついているのを辞めさせますが........
驚いたことに、この家の飼い主は全く何もしません。
どう見ても犬とじゃれあっているのではなく噛みついているのは分かっているはずです。
ウ~ウ~と吠えながら歯茎むき出しで噛みついているのですから.......
当然私はひたすら噛まれたままの状態で印鑑を押してもらいます。
物凄く痛いです。
ですが、ひたすら我慢です。
そして、印鑑を押してもらって振り返り背を向けたとたんに今度は私のお尻に豪快に噛みついてきました。
頭部を振り乱し、まるでライオンが獲物の肉を噛み千切るような感じで噛んできます。
と思わず二度三度、声が出てしまいます。
そして、この直後に飼い主から信じられない言葉を言われます。
え?
私が悪いのでしょうか?
もう、何だか訳が分かりません。
とにかく、印鑑は押してもらったので後はこの場を早く立ち去るだけなのですが.....
バイクに乗ろうとする間もひたすら噛みまくってきます。
そして、逃げるようにバイクを走らせますが今度は門を飛び出して物凄い勢いで私のバイクを追いかけてきました。
当然バイクなのであっけなく逃げる去る事はできましたが......
逃げ切った所でバイクを留めしばらくの間、放心状態です。
まだ、配達途中だったので一先ず配達を終わらせ職場に戻ります。
トイレで噛まれた箇所を見ますが至る所歯型だらけで薄っすらと所々血も出ています。
特にガッツリと噛まれたお尻はモロに歯型が付いていて血が滲み出ていいました。
その後、約4年間この家を訪れる度に私はこの犬に噛まれまくりました。
一体何度噛まれたことやら.......
勿論、飼い主は一度も対応してくれませんでした。
上司にも相談しましたが、仕方がないと言われ何の対応もしてくれませんでした。
現在
あれから、何年の月日がながれたのでしょう.......
もう何年もあの犬の姿は見ていません。
飼い主も大分お年を召されたようでとても穏やかに対応してくれます。
なので、今現在は何の問題も無く配達出来ますが........
しかし今でも、私のお尻にはあの時噛まれた跡が薄っすらと残っているのは紛れもない事実なのです。
なぜ私は、この飼い主に対して何も言わなかったのか......
答えは簡単です。
言わなかったのではなく言えなかったのです。
なぜなら、言えば必ず本局にクレームの電話がすぐさま入るでしょう。
大体、このようなお客様は自分の事は棚に上げ、自分に都合のいいような内容で電話を入れてきます。
そして、更に最悪なのは会社側としてはこのような方でもお客様なので幾ら弁解しても何一つ私の言い分は通りません。
お客様は神様以上です。
話は若干それますが、私の直属の上司は部長になります。
局長も含め大体2年周期で人事異動があります。
部長も局長も人間ですのでその時の人によって対応が全く変わってきます。
実際、数年前にいた部長はとても男気のある方でこのような理不尽なお客様に対しては自ら毅然とした態度で対応してくれました。
しかし、当時の部長だった方はトラブルがあるとすぐ説教&始末書でした。
つまり、何を言っても信じてもらえないのでずっと我慢して配達をしていました。
ただ、それだけです。
理不尽なお客様と部下を信じない上司......
これが、私の職場であり私の仕事なのです。